給料明細を見ると、住民税のほうが所得税より多く引かれている方もいます。多分、住民税>所得税のほうが多いのではないでしょうか。住民税と所得税の違いについて調べました。
所得控除
所得税も住民税(所得割)も税額の計算は次のようになっています。
注:この後必要があれば各種の税額控除等がある
収入金額と必要経費については所得税も住民税も同じです。
給与所得者は実額の必要経費に替えて給与所得控除額を収入金額から差し引きます。
そこから所得控除額を差し引いて税率をかけるのですが、この所得控除が住民税と所得税では違います。
所得控除とは、特定の支出があったことや扶養の必要があることなどを考慮して、税金の負担を調整するためのものです。
この所得控除の額が所得税と住民税では違う場合があります。
主な所得控除と控除額を挙げてみます。
所得控除 | 所得税 | 住民税 |
---|---|---|
雑損控除 | ほぼ同額 | ほぼ同額 |
医療費控除 | ほぼ同額 | ほぼ同額 |
社会保険料控除 | 同額 | 同額 |
小規模企業共済等掛金控除 | 同額 | 同額 |
生命保険料控除(最大額) | 12万円 | 7万円 |
地震保険料控除(最大額) | 5万円 | 2万5千円 |
寄付金控除 | あり | なし |
障害者控除 | 27万円 | 26万円 |
寡婦控除 | 27万円 | 26万円 |
寡夫控除 | 27万円 | 26万円 |
勤労学生控除 | 27万円 | 26万円 |
配偶者控除 | 38万円 | 33万円 |
配偶者特別控除(最大額) | 38万円 | 33万円 |
扶養控除 | 38万円 | 33万円 |
基礎控除 | 38万円 | 33万円 |
税率
所得税よりも個人住民税のほうが負担が大きいこともあります。
所得税は超過累進税率(5%~45%)だが個人住民税は税率が一定(10%)のためです。
所得税は課税所得が150万円の場合は税率が5%ですが、住民税の場合は10%です。
したがって所得が多くなるにつれて、所得税が住民税よりも大きくなっていきます。
住民税(所得割)は所得によって税額が変わります。でも、所得に対する税率は一定です。10%も内訳は市が6%、県が4%ですが、これも住所地によっては若干の上乗せがありえます。また、政令指定都市では市が8%、県が2%です。
所得税と住民税(所得割)の年収に対する税額をグラフで比較してみました。
収入は給与だけで、所得控除は基礎控除だけの場合です。
このグラフで見ると年収650万円で所得税額と住民税額がほぼ同じになります。
650万円以下では住民税のほうが大きく、650万円以上では所得税のほうが大きくなります。
納税時期
給与所得の場合、所得税は毎月の支給額に応じて変動します。
残業がたくさんあり、支給額が多くなれば、天引きされる所得税も大きくなります。
逆に支給額が少ない月は所得税も少なくなります。
これに対して、住民税は毎月一定額が給料から天引きされるのです。
注 端数調整のため、毎年6月分のみ若干金額が違いますが、7~5月分は定額です。また、所得税とは違いボーナスからは天引きされません。
所得税はその年の税金をその年に納めています。
毎月の天引き額は支給金額に応じた見積額になるのです。
1年間の収入が確定した年末において、見積もりで天引きした税額の合計と、確定した税額の差額を調整します。
これが年末調整と呼ばれるものです。
住民税は確定した税額を翌年の給料から差し引きます。
つまり、1年遅れて税金を払っているのです。
例えば退職してしばらく収入がない場合を考えてみましょう。
無収入の期間中所得税は払いません。
年末まで再就職できなければ、確定申告になりますが、ほとんどの場合は所得税が還付されることになるでしょう。
住民税は前年の所得に対する税金なので、無収入の期間でも支払う必要があります。
退職後は給料から天引きできないので、市役所等から納付書が送られてきます。
退職を考える場合は、住民税の支払いも考慮して計画を立てましょう。
コメント