納税義務者
納税義務者という言葉を聞いたことがありますか。
読んで字の如く、税金を納める義務がある者、ということです。
これは、実際に税金を納める者であって、税金を負担する者とは異なる場合があります。
例えば、消費税は消費者が税金を負担します。
ですが、税金を納めるのは、消費税を預かった事業者になります。
つまり、納税義務者は事業者になります。
もちろん、「税金を負担する者イコール納税義務者」という場合もあります。
相続税は、「税金を負担する者イコール納税義務者」になります。
基本的に、相続税は「相続又は遺贈により財産を取得した者」が納税義務者となります。
ちなみに、遺贈とは遺言によって財産を譲ることです。
ただし、「相続又は遺贈により財産を取得」していなくても、納税義務者となる場合があります。
もちろん、相続又は遺贈により財産を取得したとしても、相続財産の合計額が基礎控除額以下であれば、相続税額は発生しません。
納税義務者ならば、必ず相続税を納めるとは限りません。
日本で普通に暮らしていれば、所得税の納税義務者になりますが、給与収入だけで、年収が103万円以下なら、所得税が発生しないのと同じ理屈です。
「相続又は遺贈により財産を取得」していない納税義務者
相続又は遺贈により財産を取得していないのに、相続税の納税義務者になるとは、どういうことでしょうか。
本来は相続財産ではないものでも、税法上は相続財産とみなして、相続税が課税される場合があるのです。
主なものとして、以下の場合があります。
◇相続時精算課税適用者
相続時精算課税適用者は贈与を受けた時点では、推定相続人なので、通常は相続により財産を取得します。
しかし、何らかの事情で、相続により財産を取得しなかった場合でも、特定贈与者から贈与により取得した財産は、相続により取得した財産とみなされます。
また、相続時に相続人でなくなっていた場合は、特定贈与者から贈与により取得した財産は、遺贈により取得した財産とみなされます。
◇生命保険金の受取人
被相続人の死亡によって、被相続人が保険料を負担していた保険金の受取人は、納税義務者になります。
生命保険金は被相続人の財産ではないので、相続財産ではないのですが、税法上は相続財産とみなされます。
この場合、保険金受取人が相続人のときは、保険金を相続により取得したとみなします。
また、保険金受取人が相続人以外のときは、保険金を遺贈により取得したとみなします。
◇死亡退職金
被相続人に支給されるべきであった退職金を、相続人その他の者が支給された場合には、その支給を受けた者は納税義務者になります。
この場合も同様に、支給を受けた者が相続人であれば相続により、その他の者であれば遺贈により取得したとみなします。
ただし、死亡退職金については、被相続人の死亡後3年以内に支給が確定した場合には、相続財産とみなされますが、それ以後に支給が確定した場合は、受取人の一時所得として、所得税が課税されます。
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