源泉徴収制度
給料明細の控除欄には「所得税」という項目があります。
これは、会社が所得税をあらかじめ差し引いているのです。
いわゆる「天引き」と言われているものです。
どのような仕組みなのかというと。
会社には税務署から「源泉徴収税額表」が送られてきています。
その表は縦軸が「その月の社会保険料等控除後の給与等の額」、
横軸が「扶養親族等の数」になっています。
その二つの値が交わる点が、その従業員の天引きすべき所得税になります。
例えば、ある月の社会保険料等控除後の給与等の額が30万円で、扶養親族が3人の場合は、所得税は3,510円になります。(平成29年分より)
ですから、残業が多くて給与の増えた月は所得税も増えます。
基本的にはこの「源泉徴収税額表」を使って、天引きすべき所得税を求めます。
ただ実際は、ほとんどの会社では「源泉徴収税額表」は使っていません。
給料計算ソフトで自動的に計算されます。
このように、給与等の支払者が支払いの際に所定の所得税を天引きして納税するものを源泉徴収制度と呼んでいます。
納付と精算
源泉徴収により天引きされた所得税は、翌月の10日までに会社が納付します。
支店や営業所がある会社では事業所ごとに納付します。
逆に、規模の小さい会社(従業員が10名以下)では半年ごとにまとめて、7月と1月に納付することもできます。
毎月の天引きと納付は、所得税の前払いです。
個々人の所得税額は年間の総収入によって決まります。
その年の最後の給料を受け取るときに年末調整がされます。
(会社によっては、翌年の最初の給料のときもあります)
年末調整は会社が行います。
従業員は前もって、生命保険料の控除証明書等の必要な書類や情報を会社に渡します。
それらを基にして年間の所得税額を計算します。
1年間天引きしてきた所得税の合計と年末調整で確定した所得税額を比べます。
天引きの合計額が多ければ、その差額分が還付されます。
逆に少なければ、追加で徴収されます。
ほとんどの場合が還付となります。
年末調整で取り扱えない項目もあります。
例えば
・盗難や災害に遭った場合の雑損控除
・医療費が多額の場合の医療費控除
・住宅ローン控除の初年度
等です。
このような場合は、各人で確定申告をします。
源泉徴収義務者
従業員を雇用して給料を払っている場合は、所得税を天引きして税務署に納めなくてはなりません。
また、年末調整を行わなければなりません。
会社形態でも、個人事業主でも同様です。
このような者を源泉徴収義務者といいます。
所得税は本来、自分で税額を計算する「申告納税制度」です。
しかし源泉徴収制度によって、サラリーマンの場合は雇用主が税額を計算することになりました。
そして、納付も雇用主がします。
源泉徴収義務者である雇用主にそのような手続きを負担してもらうことによって、
サラリーマンは、所得税の計算、申告、納付をする手間を省略できているのです。
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