生命保険料控除
所得税の計算において、一定の支出は所得金額から控除することができます。
所得者本人が支払った生命保険料もそのひとつです。
ただし対象となるのは、その保険金受取人が以下の人の場合です。
・所得者本人
・配偶者
・親族
そして、支払った保険料の全額が控除されるわけではありません。
支払った保険料を基にして、一定の計算式によって控除額が決まります。
保険料が少額の場合は全額が控除されることもあります。
生命保険料控除の額の計算のために、支払っている保険料を次の5種類に分類します。
・一般の生命保険料(新保険料等)
・一般の生命保険料(旧保険料等)
・介護医療保険料
・個人年金保険料(新保険料等)
・個人年金保険料(旧保険料等)
ちなみに、平成23年以前に契約した保険が旧保険料、24年以降に契約した保険が新保険料に該当しますが、保険会社から送られてくる控除証明書にどの種類か記載されています。
保険の名称に「年金」の文字が入っていても、一般の生命保険料に該当するものもありますので、控除証明書を注意して見てください。
控除額の計算方法
1.各種類の控除額を計算します
控除証明書を上記5種類に分類したら、その種類ごとに保険料の合計額を計算します。
その合計額を下記の計算式にあてはめて、控除額を計算します。
・一般の生命保険料(新保険料等)
・介護医療保険料
・個人年金保険料(新保険料等)
は計算式①にあてはめます。
・一般の生命保険料(旧保険料等)
・個人年金保険料(旧保険料等)
は計算式②にあてはめます。
計算式①
支払った保険料等の金額 | 控除額 |
---|---|
20,000円以下 | 支払った保険料等の金額 |
20,001円~40,000円 | (支払った保険料等の金額)✖1/2+10,000円 |
40,001円~80,000円 | (支払った保険料等の金額)✖1/4+20,000円 |
80,001円以上 | 40,000円 |
計算式②
支払った保険料等の金額 | 控除額 |
---|---|
25,000円以下 | 支払った保険料等の金額 |
25,001円~50,000円 | (支払った保険料等の金額)✖1/2+12,500円 |
50,001円~100,000円 | (支払った保険料等の金額)✖1/4+25,000円 |
100,001円以上 | 50,000円 |
2.各グループ内で控除額を計算します
一般の生命保険料では、新保険料等の控除額と旧保険料等の控除額を合算します。
この合算額は40,000円を上限とします。
つまり、40,000円を超えている場合は40,000円となります。
続いて、40,000円の上限枠を適用した後の合算額と旧保険料等の控除額を比較します。
このうち、いずれか大きい方を一般の生命保険料の控除額とします。
個人年金保険料も一般の生命保険料と同様の手順で控除額を計算します。
介護医療保険料は新旧の区別がないので、1.で計算した控除額はそのままです。
3.全体の控除額を計算します
上記2.で計算した各グループの控除額を合計します。
この合計額は120,000円を上限とします。
合計額が120,000円を超えていれば120,000円、超えていなければその合計額が、生命保険料の控除額になります。
計算例
一般の生命保険料(旧) 85,000円と72,000円 合わせて157,000円
一般の生命保険料(新) 60,000円
介護医療保険料 30,000円
個人年金保険料(新) 150,000円
1.各種類の控除額
一般の生命保険料(旧) 157,000円 → 50,000円(計算式②より)
一般の生命保険料(新) 60,000円 → 35,000円(計算式①より)
介護医療保険料 30,000円 → 25,000円(計算式①より)
個人年金保険料(旧) 10,000円 → 10,000円(計算式②より)
個人年金保険料(新) 150,000円 → 40,000円(計算式①より)
2.各グループの控除額
一般の生命保険料の控除額
50,000円+35,000円=85,000円
85,000円>40,000円(合算額の上限) → 40,000円
40,000円<50,000円(旧保険料等の控除額) → 50,000円
介護医療保険料の控除額
25,000円(上記1.のまま)
個人年金保険料の控除額
10,000円+40,000円=50,000円
50,000円>40,000円(合算額の上限) → 40,000円
40,000円>10,000円(旧保険料等の控除額) → 40,000円
3.控除額
50,000円+25,000円+40,000円=115,000円
115,000円<120,000円(控除額の上限) → 115,000円
よって、この例の場合は115,000円が所得から控除できる生命保険料控除額になります。
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