年金に所得税はかかるのか
老後の生活において、重要な収入源である年金。
年金にも所得税はかかるのでしょうか。
ただし、年金と一口に言っても、実はたくさんの種類があります。
同じように〇〇年金と呼ばれていても、税務上では違った取り扱いになるものもあります。
なので、この記事では、公的年金等に的を絞って紹介します。
公的年金には、国民年金、厚生年金、共済年金があります。
また、勤務していた会社等から支払われる年金も、所得税では公的年金と同様に扱われるので、これを含めて、公的年金等といいます。
一定の年齢になると受け取ることができる年金ですが、所得税の対象として課税されます。
ただし、公的年金の被保険者であった人が亡くなったために、遺族が受け取る遺族年金は非課税です。
年金にかかる所得税はいくらか
では、年金にかかる所得税はいくらになるのでしょうか。
年金は所得税の計算において、雑所得という所得区分になります。
その中で、公的年金等に該当する場合は、「公的年金等に係る雑所得の速算表」を使って雑所得を計算します。
他の区分の所得と合算し、所得控除を差し引いた後、対応する税率を乗じて所得税額を算出します。
ちなみに、雑所得を計算する際の「公的年金等に係る雑所得の速算表」は年齢が65歳未満用と65歳以上用の2種類があります。
公的年金等に係る雑所得の速算表 65歳未満
公的年金等の収入金額の合計 | 割合 | 控除額 |
---|---|---|
~1,299,999円 | 100% | 700,000円 |
1,300,000円~4,099,999円 | 75% | 375,000円 |
4,100,000円~7,699,999円 | 85% | 785,000円 |
7,700,000円~ | 95% | 1,555,000円 |
公的年金等に係る雑所得の速算表 65歳以上
公的年金等の収入金額の合計 | 割合 | 控除額 |
---|---|---|
~3,299,999円 | 100% | 1,200,000円 |
3,300,000円~4,099,999円 | 75% | 375,000円 |
4,100,000円~7,699,999円 | 85% | 785,000円 |
7,700,000円~ | 95% | 1,555,000円 |
例
年齢:75歳
公的年金等の収入金額
厚生年金:250万円
会社からの年金(公的年金等に該当):120万円
その他に収入はなく、所得控除は基礎控除のみ
この場合の所得税額はいくらになるでしょう。
まず、公的年金等の収入の合計額は 250万円+120万円=370万円
この金額を65歳以上の速算表に当てはめます。
370万円の場合は割合が75%で控除額が375,000円です。
3,700,000円×75%-375,000円=2,400,000円
240万円が雑所得金額です。
他に所得はないので、240万円から基礎控除額の38万円を差引きます。
2,400,000円-380,000円=2,020,000円
これを下記の所得税の速算表に当てはめて、税額を計算します。
所得税の速算表 | ||
---|---|---|
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え 4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
202万円の税率は10%で控除額は97,500円です。
2,020,000円×10%-97,500円=104,500円
104,500円が所得税額になります。
公的年金等は、ほとんどの場合所得税が天引きされていますから、天引きされた税額と比較して、差額が納付または還付になります。
確定申告不要
公的年金等の収入金額が400万円以下で、その公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下の場合は、確定申告は不要になりました。
ただし、確定申告は不要でも住民税の申告が必要な場合があります。
住民税の場合は、公的年金等の所得のみの人で、年金支払者から公的年金支払報告書が提出されていれば、申告は不要です。
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